乳がんは生涯のうちに11人に1人がかかると言われており、
年間で約1万3千人が亡くなっている病気です。
私たちの身近に潜んでいる乳がんは、どのような症状があるのでしょうか?
今回は「乳がんについて。症状や初期症状など」についてお伝えします。
この記事を読むことで、乳がんはどんな病気なのか、また乳がんの治療法や予防策まで知る事ができると思いますので、是非男性の方も参考にしてみてください。
目次
乳がんとは、その症状や患者数など。

乳がんは主に女性に多い病気と聞きますが、どのような原因、症状なのでしょうか?
ここでは、乳がんの患者数や種類、初期症状についてご紹介します。
乳がんの患者数はどれくらい?
乳がんは、日本全国で1年間に約92,300人が診断されています。
そのうち、女性は91,600人、男性が650人と圧倒的に女性が多い病気です。
また、女性にとっても乳がんは一番多い病気であり、特に40代後半から60代後半の
女性にかかりやすい傾向があります。
参照:国立がん研究センター「乳がん(基礎知識)」
乳がんの種類は?
乳がんで一番多いのが「乳管がん」です。
これは、乳がんの90%を占めているがんで、母乳を作る乳腺にできるがんです。
そして乳がんの残りの10%は「小葉がん」です。
これも乳腺にできるがんで、乳腺から枝分かれした乳腺組織にできるがんです。
参照:日本医師会「乳がんとは?」
乳がんの初期症状は?
乳がんの初期症状は、乳房のしこりやえくぼ、ただれができたりします。
これらの症状は、自分で触った見たりしてわかる症状なので、がんの中でも自分で
見つけやすいがんの一つです。
しかし、自分で見つけることができない場合もあるので、定期的に乳がん検診を受けることを
おすすめします。
参照:国立がん研究センター「乳がん(基礎知識)」
乳がんの原因・検査方法

乳がんはどのようなことが原因で起こるのでしょうか?
また、乳がんと疑ったら、どのような検査を行えば良いのでしょうか?
ここでは、乳がんの原因と検査方法についてご紹介します。
乳がんの原因
乳がんになる人は、様々なことが関係していると言われています。
なかでも、女性ホルモンや生活習慣などが乳がんと関係することが分かってきており、
以下のような人がかかりやすいと言われています。
・体内のエストロゲンが多い
・初経年齢が低い
・経口避妊薬(ピル)を服用している
・閉経年齢が高い
・出産経験がない
・初産年齢が高い
・授乳経験がない
・閉経後の肥満
・運動不足
・飲酒の量が多い
・遺伝(第一親等内※に乳がんになった人がいる)
※第一親等内・・・自分の親または子
参照:国立がん研究センター「乳がん(基礎知識)」
乳がんの検査方法
自分が乳がんかもしれないと思ったら、どのような方法で診断するのでしょうか?
ここでは、乳がんの検査方法をご紹介します。
・視診 (目で見て診断)
まず乳房を目で見て診察する「視診」を行います。
視診では、乳房の状態や左右の乳房の大きさは均等か、乳頭から分泌物が出ていないかを
確認します。
・触診(手・指で患者の体にさわって診断)
視診とあわせて「触診」も行います。
これは、実際に乳房から脇の下を指で触って、しこりの有無や大きさ、硬さなどを調べます。
診察前に自分でしこりを見つけている人は、そのしこりの場所を医師に伝えましょう。
・マンモグラフィ
マンモグラフィは乳房専用のX線検査のことを指します。
乳房を2枚の板で挟んで圧迫し、乳房を平らにして撮影することで病変を見つけます。
マンモグラフィは検査時に乳房に痛みを伴うため、苦手な人が多いです。
しかし、マンモグラフィは視診や触診では見つけられない病変や、しこりになる前の
石灰化した小さな乳がんを見つけることができるので、多くの病院で採用されています。
・超音波(エコー)
超音波(エコー)は、病変の有無やしこりの大きさ、脇の下にあるリンパ節へ転移※して
いないかを調べることができます。
超音波(エコー)は、検査用のジェルを乳房に塗り超音波を発生させる機械をあてて、
超音波が反射した様子を画像で確認します。
超音波(エコー)の良いところは、放射線を使わないため妊婦でも利用することができます。
また、マンモグラフィのような痛みを伴うこともありません。
※転移・・・がん細胞が最初に発生した場所から血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ管をつたってがん細胞が他の臓器で増えること。
参照:国立がん研究センター「乳がん(基礎知識)」
参照:日本医師会「乳がんとは?」
乳がんの治療方法

乳がんは早いうちに見つけると、完治する可能性が高い病気です。
では、乳がんはどのように治療するのでしょうか?
手術
乳がんは、乳房から離れた臓器に転移※していることが明らかな場合を除き、基本的に
手術によって切除します。
主な方法は「乳房部分切除術」と「乳房全切除術」があります。
・乳房部分切除術
乳房部分切除術は、乳房の一部を手術によって切除する方法です。
この方法は、別名「乳房温存手術」とも言われ、女性にとって大事な乳房が失われること
によるショックを最小限にするために、乳房の一部を温存して腫瘍部分を切除します。
手術後は残された乳房に対して放射線をあてて再発を防ぐ治療を行います。
また、腫瘍の大きさが大きい場合は、化学療法で腫瘍を小さくしてから手術を行う場合も
あります。
・乳房全切除術
乳房全切除術は、乳房のすべてを手術によって切除する方法です。
この方法は、腫瘍が広範囲に広がっている場合や、あちこちにしこりができている場合に
行います。
乳房全切除術は乳房をすべて失ってしまうので、治療後に人口的な乳房を造る乳房再建を
行う場合があります。
これらの方法は、腫瘍の状態によって異なりますが、どちらの方法もがんが転移しやすい
腋窩(脇の下)リンパ節を切除する手術を同時に行う場合もあります。
腋窩リンパ節にがんが転移しているかどうかは、
「センチネルリンパ節生検」※によって判断します。
(※乳房内から乳がん細胞が最初にたどりつくリンパ節)
参照:国立がん研究センター「乳がん(治療)」
化学療法(薬物療法)
化学療法とは、「術前に腫瘍を小さくする」「術後に再発しないようにする」「手術ができない
場合に症状を和らげる」などの効果を得るために行われる治療です。
この治療に使う薬は、乳がんの性質によって決定されます。
その乳がんの性質は3つに分かれており、次のようにそれぞれのタイプによって薬を選択します。
・ホルモン受容体陽性乳がん
ホルモン受容体陽性乳がんとは、女性ホルモンによってがん細胞が増えていくタイプで、
このタイプはホルモン療法によって治療を行います。
使用する薬は、「タモキシフェン」、「トレミフェン」、「リュープロレリン」、「ゴセレリン」
「アナストロゾール」、「レトロゾール」、「エキセメスタン」などがあります。
・HER2陽性乳がん
HER2陽性乳がんとは、HER2というがん細胞を増やす働きをするタンパク質を持っている
タイプで、このタイプは分子標的薬によって治療を行います。
HER2を持っているかどうかは、がん細胞の中のタンパク質を調べることでわかります。
使用する薬は、「トラスツズマブ」、「オラパリブ」などがあります。
・トリプルネガティブ乳がん
トリプルネガティブ乳がんは、女性ホルモンによってがん細胞が増えていく性質を持たず、
かつHER2というがん細胞を増やす働きをするタンパク質を持っていないというタイプで、
細胞障害性抗がん薬によって治療を行います。
細胞障害性抗がん薬とは、がん細胞が増えていく流れを邪魔して、がん細胞を攻撃する
働きがあります。
しかし、この薬は正常な細胞も攻撃してしまうというデメリットもあります。
使用する薬は、「キソルビシン」、「エピルビシン」、「パクリタキセル」、「ドセタキセル」
などがあります。
参照:国立がん研究センター「乳がん(治療)」
放射線
放射線治療は、がん細胞を小さくしたり死滅させたりする効果があります。
治療の頻度は、1日1回、週5回で約4〜6週間かけて照射するのが一般的です。
ただし、この治療は皮膚が日焼けのように赤くなったり、ひりひりとかゆくなったりする場合も
ありますが、治療が終われば2週間ほどで回復します。
参照:国立がん研究センター「乳がん(治療)」
乳がん予防のための対策

乳がんにならないためにはどのような予防法があるのでしょうか?
予防的切除
乳がんは、血液検査で「BRCA1」、「BRCA2」という遺伝子に異常があった場合、
遺伝性乳がんの可能性が高いと言われています。
そのため、乳房を予防的切除する方法があります。
この方法は、アメリカの大物女優アンジェリーナさんが行ったことから一躍有名になりましたが、
実際にこの手術を受けた人は、7%の乳がんリスクを下げることができたとの報告があります。
参照: 厚生労働省「がん対策加速化プラン策定に向けた委員からの意見」
予防と食事
乳がんに限らず、がんを予防するためにはバランスの良い食事を摂取することが大切です。
なかでも、乳がんは大豆食品などイソフラボンを摂取することで、
乳がんのリスクが低くなることが研究でわかっています。
イソフラボンはコンビニエンスストアでも購入できる豆腐や豆乳などの
大豆製品から取りやすいです。
また、乳製品を摂取することも、乳がんのリスクを下げる効果があるということが
わかっています。
参照:日本乳癌学会「Q1.食生活・生活習慣・持病と乳がん発症リスクについて」
まとめ
今回は、「乳がんについて。症状や初期症状など」というテーマでお伝えしました。
女性にとって乳がんは患者数が非常に多い病気ですが、自分で発見することができる病気
ですので、日頃からセルフチェックを行うことも大切です。
特に閉経後以降の肥満、飲酒についてはリスク要因となる可能性が高いです。
見た目も心も美しく、いつまでも女性らしく振る舞える可能性は誰しも備えいます。
自分に甘い部分を自覚しているなら、心に留め是非改善に向けた考え方を毎日の習慣にしましょう。