タバコが体に有害であることは広く知られていますが、 なぜタバコが癌の発症リスクを高めるのかご存じですか?
実は、タバコを吸うことで肺がんリスクが高まり、 含まれている物質が癌発症と大きく関係している事は知られています。
この記事では、タバコに含まれる物質や煙草が与える悪影響についてご紹介します。
この記事を読み終えると、タバコが与える危険性について理解できると思いますので 是非参考にしてください。
目次
タバコにはニコチン、タール以外にどんな物質が入っている?

では、タバコにはどんな物質が入っているのでしょうか?
ここでは、タバコに含まれる物質が癌になる原因とどう影響するのかについてご紹介します。
タバコに含まれる有害物質
タバコには様々な有害物資が含まれています。 ニコチン、タール以外にも以下のようなたくさんの物質を含んでいます。
ベンゾピレン、ニコチン、タール、ベンゼン、ニトロソアニン、一酸化炭素、シアン化水素、ホルムアルデヒド、アセトン、アクロレイン、ブチルアルデヒド 等
これらの有害物質はほんの一部ですが、そのうち「ベンゾピレン」や「ニトロソニアン」、 「タール」などは発がん性物質です。
このように、タバコには多くの発がん性物質が含まれているということがわかります。
引用:厚生労働省 たばこ煙の成分分析について(確認日:2020年6月20日)
癌になる仕組み
では、どのようにして癌になるのでしょうか?
それは、タバコを吸うことでフ―ッと煙が肺にダイレクトに送りこまれるので、 肺は直接発がん性物質を取り込みます。
そして、肺の毛細血管をジワジワと通り血液中に有害な物質が流れこみ、 体に悪影響を起こす原因となってしまうのです。
肺がんの原因は煙草だけ?
肺がんの原因のほとんどは「煙草」と言われています。
煙草を吸っている人は、吸っていない人と比較し男性では約4.8倍、 女性では約3.9倍リスクが高まります。また、喫煙期間や1日あたりの喫煙本数が 多ければ多いほど肺がんリスクは高まります。
しかし、肺がんの原因は「煙草」だけではありません。
実は、「化学物質」や「大気汚染」が肺がんの原因になることもあります。
その内容とは、アスベスト(石綿)、ラドン、ヒ素、クロロメチルエーテル、 クロム酸、ニッケルなどです。
例えば、アスベストは1960年代から1990年代に建築材料として広く使われていました。
その頃に建築現場で仕事をしていた人などアスベストを吸入してしまった人は、数十年後に肺がんを発症してしまう可能性があります。
前述したその他の化学物質を扱う職業の人も同様です。
アスベスト(石綿)を扱う業務に従事していて肺がんを発症した場合は、労働者災害補償保険の対象となる場合があるので、詳しくは労働基準監督署に確認すると良いと思います。
引用:がん情報サイト「オンコロ」:「肺がんの原因 タバコ?遺伝?その関係」(確認日:2020年6月20日)
改めて知って下さい。煙草が与える悪影響

肺がんの最大の原因は煙草ということが分かりました。
では、煙草は他に私たちにどんな影響を与えてしまうのでしょうか?
ここでは、煙草が与える悪影響についてご紹介します。
周囲への悪影響
煙草は自分への肺がんリスクを高めるだけでなく、周囲の人へも悪影響を及ぼします。
例えば、同居している家族への健康被害です。
特に家の中で煙草を吸っている人は、同居している家族が受動喫煙することによって 家族にも肺がんリスクを高めてしまいます。
受動喫煙によって引き起こされる病気は肺がんだけではありません。
実は、「虚血性心疾患」(心筋梗塞など)のリスクも高まるのです。
ニコチンを取っては行けない恐ろしい理由とは?
煙草は妊婦にも危険を及ぼします。
先述したように煙草には「ニコチン」という有害な物質が含まれています。
そのニコチンが原因で、胎盤の血管が収縮し血流障害を引き起こすことがあります。
また、一酸化炭素とヘモグロビンが結合してしまい、胎児に十分な酸素を供給できなくなる可能性があります。
そのため、妊婦が煙草を吸うと低体重児が生まれる可能性が非喫煙者と比較し2倍高まります。
このように、煙草は胎児に悪影響を及ぼす可能性が高いので、 最低限、妊娠中は禁煙することをおすすめします。
肺がんだけではない、煙草が引き起こす恐れがあるがんはご存じですか?
煙草が原因で、肺がん以外の病気が引き起こされる可能性があります。
その病気は「喉頭がん」です。
喉頭がんの原因は、「煙草」と「お酒」です。
特に、煙草は咽頭がんの原因となることが多く、 喉頭がん患者の約90%は喫煙者と言われています。
これらのように、煙草が与える悪影響はかなり大きいということがわかります。
引用:国立がん研究センター 「がん情報サービス」(確認日:2020年6月20日)
依存症の物質としての危険性

煙草は、麻薬や危険薬物のように違法なものではありません。
しかし、煙草には麻薬のような作用があり、依存性が高いと言われています。
ここでは、煙草がもたらす依存の危険性をご紹介します。
ニコチン依存症
喫煙者の中には「イライラした時に煙草を吸うと落ち着く」という人は多いでしょう。
それは、煙草に含まれるニコチンという有害な物質が肺に入ったことで、 脳を一時的に覚醒状態にさせるからです。
そして、時間が経つと体内のニコチン濃度が下がり、 またイライラし煙草を吸いたいと思うようになるのです。
これが「ニコチン依存症」です。
ニコチン依存症は、薬物依存症の一つです。
引用:一般社団法人 日本禁煙学会
自分がニコチン依存症であるかどうか心配な人は、 「ニコチン依存症テスト(DTS)」で簡単に調べることができます。
煙草依存から抜け出すには?
これまで説明してきた通り、煙草は肺がんのリスクを高める要因となります。
そのため、体の健康を考えると禁煙することが肺がんのリスクを下げる一番の近道です。
しかし、煙草依存性の人は自分の意思では辞められない人が多いのが現状です。
そこで、禁煙を成功させるためには「禁煙外来」を利用するのがおすすめです。
「禁煙外来」は、要件を満たせば保険が適用される場合がありますので、禁煙したい人は「禁煙外来」を行う医療機関に問い合わせてみてください。地方自治体によっては助成金などの制度を設けているところもあるようです。
肺がんを心配する人へ

喫煙期間が長い人や1日あたりの喫煙本数が多い人は、肺がんのリスクが高まります。
そんな人は、肺がんを心配する人が多いと思います。
ここでは、肺がん検診や肺がんの初期症状についてご紹介します。
肺がん検診
肺がんを心配している人は、肺がん検診を受診することをおすすめします。
肺がん検診の方法は、「胸部X線検査」と「痰検査」です。
これらは単独で受診することもできますが、人間ドック時に一緒に受診することもできます。
肺がん検診の推奨年齢は40歳以上です。
40歳以上で肺がんリスクが高い人は、肺がん検診を受診しましょう。
引用:国立がん研究センター「肺がん検診について」(確認日:2020年6月20日)
肺がんの初期症状
肺がんリスクが高い人は、肺がんはどんな初期症状があるのか気になると思います。
実は、肺がんは咳や痰、発熱など風邪に似た症状があらわれます。
そのため、これらの症状だけでは肺がんであるとは断定できず見逃してしまう可能性があります。
しかし、肺がんの初期症状は通常の風邪とは違い、咳や痰の症状が長く続くことがあります。
その場合は、できるだけ早めに医療機関を受診することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、「なぜ、タバコを吸うと癌の発症が高まるのか?」というテーマをお伝えしました。
タバコは癌になるリスクを高める要因についての詳細がわかりました。
しかし、禁煙することで癌になるリスクを低くすることができます。
肺がんを心配している人はまずは禁煙することをおすすめします。
また、禁煙することは自分だけでなく周囲の健康も守ることにもつながるので、 「自分だけの問題であり、自分で責任はとれる」では片づけられません。